三菱製紙 統合報告書2024
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考えています。社員一人ひとりの意識を高め、それにあった仕組みをつくる、それによって会社が変わり、成長のしっかりした土台になるということだと思います。監査役の守備範囲かという議論はありますが(笑)滝沢 不適切事案への対応は今年度の重要テーマですが、真因分析や再発防止策を策定する中でいわゆる心理的安全性の確保に問題があったということであれば、そのような点にも目配りしていきたいと思います。監査役の守備範囲を越えるかも知れませんが、様々な提言を行っていくつもりです。大塚 本来、組織というものは人が動くための枠組みです。ところがこれまでの企業活動においては、枠組みさえ作れば、人は無機的に動くと考えてきた傾向もありました。でも実際は、一人ひとりの人格や感情など、心理学や社内風土を含めた社会行動学的なアプローチなくしては、コンプライアンスや内部統制を正しく機能させていくことはできないと思っています。 不正のトライアングル(動機、機会、正当化)という3つの要素は、不正行為に至る人の環境や感情を言い現わしたものですが、不正防止に限らず、人の心を意識した企業活動を、という観点は、守りのガバナンスを考えるうえで、監査役が大事にしていくべきポイントと考えています。滝沢 内部統制報告制度がおよそ15年ぶりに大きく改訂され、今年度から適用されることになりました。この改訂は内部統制報告制度の実効性を高めることが目的とされていますが、当社においても既に執行サイドで現状を点検した上で求められる対応を整理しました。 改訂内容は多岐にわたりますが、不正リスクへの対応や内部統制の評価範囲については、まさに今回の不適切事案への対応とシンクロすることから、内部統制の評価範囲は早速今年度から100%に変更されました。監査役の立場とすれば今回の改訂で内部監査の体制が強化されることも期待できますので、この点もしっかりモニタリングしたいと思います。殿岡 社員の方々の話をもっと聞いていきたいと思っています。どうすればもっと働きやすい職場になるのか、地方拠点に出張した際にお話を聞いたり、エンゲージメントサーベイの結果なども踏まえながら注視していきます。大塚 監査活動を執行に身近に活かしてもらうため、活動の見える化に取り組みました。監査役会で行われた議論について取締役との共有を行うほか、往査等による監査結果の拠点へのフィードバック、三様監査(内部監査部、監査法人)およびグループ監査役との連携強化、役員や社員との懇談、そして活動報告の共有などです。 殿岡さんがお話されたように、私も役員だけでなく、幅広い社員の方々の意見を聞く機会を今後も持ちたいと考えています。社内の幅広い声は、監査役会での議論の深まりにも大いに貢献されています。また、社外のステークホルダーからの声をいただくこと、トレンド情報の社内へのインプットも積極的に行っていきたいですね。滝沢 先ほど述べた新たな内部統制報告制度の改訂に加えて、執行サイドにはIRの強化にも取り組んでもらいたいと思っています。昨年3月に東証からプライム市場およびスタンダード市場の全上場会社を対80社外監査役座談会監査役会の実効性を高めるためにどのような取り組みを行っていきますか?

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