滝沢 私も同意見です。本当に中身の濃い1年だったと思います。多様なメンバーとなったことで、いま会社でどのようなことが起きていて何が課題なのか、非常勤の私でも三菱製紙という会社の有り様がこれまで以上によくわかるようになりました。今年度は次の中期経営計画を作成する時期にあたりますが、監査役として独立した立場でしっかりと意見を言える土壌ができていると感じています。 木坂社長の体制になって業績が回復していることも社内に良い影響を与えています。前期は株主への増配を実現し、社員の処遇も改善するなど、守りの経営に徹していた時期から何事も前向きに発想できるように変化していると感じます。外部環境はまだまだ厳しいですが、会社には明るい兆しが見えてきています。大塚 三菱製紙グループにおいてこれまでにない大きな組織改革、経営改革を推進している只中で、昨年就任しました。私自身は行政や情報分析、会計、内部監査の経験から、また3名は金融の専門家、経営者、技術者としての知見により、それぞれ持ち寄った情報を共有しつつ深い議論ができた1年でありました。 個人的にも大変勉強になる経験でしたが、ダイナミックに変化する会社に対して、監査役会としてもガバナンス向上に少なからず寄与できたのではないかと思います。同時に、中期経営計画の3年目そして次期間の経営計画に向けて、ガバナンス発展の次のステップも意識している次第です。殿岡 今年は中期経営計画の最終年度で、私自身は3つの点を注視していきたいと考えています。 まず今期は営業利益80億円をめざしていますが、当初計画の75億円を上回る目標ですので、適切なプロセスにより達成されるか見てまいります。2点目は次期中期経営計画です。株主やお客さま、社員、社会も含めてステークホルダーの要望が非常に多様化していますので、それを満たしながら、魅力的なビジョンをつくっていくことが必要です。3点目は子会社の不適切事案です。これはガバナンスの根幹にかかわる重要な問題ですので、次の中期経営計画を待たずに今年度から改革していくことになりますが、その進捗をしっかり確認していきます。滝沢 執行サイドは攻めと守りの両方を所管しているわけですが、私たち監査役は守りのガバナンスに貢献する立場にあります。従って次期中期経営計画の議論においても、主としてリスク管理や内部統制といった守りの部分で意見を提言していきたいと思います。守りのガバナンスは、攻めの経営のための土台になります。執行サイドが存分に事業活動を推進できるように、監査役としての責務を果たしていきます。大塚 執行はビジネスで収益を上げていくことに集中しなければならない一方で、ガバナンスやコンプライアンスも同じレベルで向上させなくてはならないわけですが、経営計画達成にまい進するあまり、そこが見えなくなる可能性があります。監査役の使命はビジネスを発展させるうえで、一番大切なことを忘れていませんか、と提言しながら、執行サイドをサポートしていくことと思っています。従業員など人に対して優しい眼差しを常に持ち、人財投資や、コンプライアンス、内部統制などを、執行がどのように経営に反映させていくのか注視していきたいですね。殿岡 木坂社長の体制になって3年目になるわけですが、大きな改革を断行し、その成果が数字となって現れてきています。一方で今の会社の状況や今回の不適切事案などについて、社員の方々がどのように受け止めているのかはあまり表に出てきていません。一人ひとりが自由に意見をいえて、楽しく仕事ができる、そんな風土改革ができれば、さらに業績は伸びていくでしょう。 私は守りのガバナンスとは「人」と「仕組み」だと792025年3月期において、注力している点は何でしょうか? 監査役会が考える守りのガバナンスとはどのようなものでしょうか。
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