片岡 2023年3月には、三菱製紙グループ企業行動憲章が改定されましたが、この企業理念ないしパーパスと、経営方針の各論の第二線、第一線への浸透が課題であると考えています。 組織再編を進めた副産物として、白河工場での検査データの一部改ざんが発覚しましたが、幸い製品の安全性に影響があるものではないということで、社会的な問題にまでは至りませんでした。しかし、当社では、これを機に外部の専門家からなる特別調査委員会を設置して全社的な調査と問題点の洗い出しを進めています。この一連の作業もガバナンス強化に繋がるものと考えています。渡邉 「選択と集中」は成功しつつあり、この完成とその後の新しい体制作りが課題であると考えます。中期経営計画の基本方針である、サステナビリティ向上のための組織改革の取り組みに注力していくことが不可欠です。木坂社長のもと組織再編が進み、昨年度までに大きな成果をあげています。このような成果は、外部からこられた経営者であり、当社の当たり前がそうでないことを改善されていった木坂社長の手腕であると理解しています。 組織再編はいわば舞台づくりであり、今後はその舞台で活躍する社員の一人ひとりにフォーカスした体制づくりが求められてくると考えています。灘原 社員の方もいま会社が大きく変わってきていることは実感していると思いますね。その中で社員一人ひとりが一つ一つの経営課題を自分事として考えられるようになることが重要だと考えます。片岡 企業理念と経営方針の現場への浸透によるガバナンスの強化を図るには、コンプライアンスの徹底を図るべきですが、法令等または経営陣から現場への上位下達的なものだけでなく、進んでインテグリティ経営、更にはパーパス経営を進めることが必要ないし有益であると考えています。 私としましては、当社執行部に対し、インテグリティ経営、パーパス経営の手法の実践を提言しようと思っています。執行部も企業行動憲章の改定にみられるように、この点の認識が既にあると考えていますが、品質管理についてのQCサークルだけではなく、現場からのインテグリティやパーパスに基づくガバナンスを含むPDCAサイクル、PDCAスパイラルの実践・実行を促そうと考える次第です。そうすると、社内的にも開かれた会社として良き企業文化の醸成とサステナビリティにも大いに資することになると考えています。 三菱製紙の経営陣の皆さまは非常に勉強されているし、さまざまな施策を実行しようとされていますが、そういった精神が社内に浸透していくにはやはり時間がかかります。上からのリーダーシップと下からの議論の積み上げが不可欠です。渡邉 昨年久しぶりにお会いした70代後半の方で、おじいさん、お父さんが当社の社員で、中川工場があった社宅で育ったという方がおられます。社宅での思い出をいくつかお話いただき、「三菱製紙はいい会社です」と言われました。 そういう評価をしていただける会社であり続けるべきであり、社員一人ひとりがやりがいをもってスキルアップ、意識の向上ができる環境整備にさらに注力76社外取締役座談会次の中期経営計画に向けてガバナンス体制が直面している課題をお聞かせください。ガバナンス体制を強化するための今後の取り組みについてお聞かせください。
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