三菱製紙 統合報告書2024
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国内での採用事例を示しながらバリア紙とクラフト紙を拡販します。特にクラフト紙は強度とインキ発色性が国内で高い評価を得ていますので、海外富裕層向け用途に訴求していくつもりです。 中長期的には印刷用紙の減衰を補うため、素材としてのセルロースの商品化を進めていきます。木材パルプから得られるセルロース繊維ですが、脱・減プラのデマンドから石油由来の化学素材に代わる天然素材として注目されてくると考えています。そのために現在は製紙用として確立されているパルプの製品特性を、形成素材用にチューニングしていく必要があり、研究部門にその開発を進めてもらっています。 また印刷用紙の需要代替案として産業用紙があります。電子電機産業の生産工程で使われるプラスチックシート類を紙によって代替するアイデアで、年間にして数十万トン規模の需要があると想定されます。 当社は写真印画紙の製造で培ってきた世界最高レベルの技術開発力を有しています。その強みを活かし、このような置き換えニーズを上手く捉えて売上増を図っていきたいと思います。上記計画は次期中期経営計画には大きく盛り込んでいく考えです。百万円(前期比4.1%減)百万円(前期比 − )取締役 常務執行役員紙素材事業部長高上 裕二2897,5111,177■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 紙素材事業部の2024年3月期は、国内印刷用紙の販売数量は減少したものの、価格改定の効果や好調な輸出によって安定的な収益を確保できました。また包装紙の販売も好調で国内は前年比で約180%を達成しています。特に紙袋用途などで脱プラ・減プラに貢献する「晒クラフト」が大変好評でした。 円安を背景に印刷用紙の輸出も増加しました。グループ会社の三菱王子紙販売株式会社に海外営業部門を新設し、前年を上回る販売を実現しています。市販パルプについては八戸工場のボイラー事故の影響もあり販売数量・金額ともに減少しましたが、紙素材事業部全体としては将来に向けて期待の持てる1年になったと感じています。 今期は引き続き国内印刷用紙の数量減に対して、包装紙の拡販、輸出増で跳ね返していく計画です。印刷用紙に続いて、前期から北上工場で始めた針葉樹パルプの輸出拡大を図ってまいります。■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 次の3か年に向けての戦略としては、まずは「包装紙」用途の拡大に取り組みます。アジアでは脱プラ・減プラの意識から買い物袋のニーズが高まっていますので、セグメント別事業戦略売上高営業利益紙素材事業プラスチックに代わる新たな紙素材製品を開発し事業を成長させていきます

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